うだつの町並み

徳島県美馬郡脇町


 「うだつの上がらないサラリーマン」「うだつのあがない男」などの「うだつが上がらない」という言葉は,時々耳にする言葉だ。
 「うだつが上がらない」の「うだつ」っていったい何だろう?今まで疑問に思ったことはなかったが,改めて考えてみると,その語源など考えたこともなく,分からないことであった。

 諸説あるが,もっとも一般的な語源については次の通りである。
 「うだつ」とは,屋根付きの土壁のことで,隣家との境の2階の壁面に設けられ,火よけのために造られた物だ。

 江戸時代,この脇町の商人たちは,競って「うだつ」を上げた立派な家を造ったという。
 当時,「うだつ」を造るには,相当の建築費を要したため,「うだつ」を上げることができないという意味から,「出世したり地位が上がったりしない。金銭に恵まれない。よい境遇になれない。」という現在の意味になったと言われる。

 脇町のうだつの町並みは,国の「重要伝統的建造物群保存地区」に選定されており,また,「日本の道100選」にも選ばれている。

 江戸時代から明治時代にかけて,脇町は阿波藍の集散地として繁栄し,特に南町は大正時代前半までは徳島県西部で随一の商店街として栄えたそうだ。

 430m続く南町通りの両側には,本瓦葺き,塗籠壁の江戸時代に栄えた藍商の重厚な屋敷や蔵が軒を連ね,当時の面影を現在に伝えている。

 道の駅「藍ランドうだつ」というところに車を停め,案内通りに数分歩くと,そこには江戸時代の町並みがそのまま残っていた。現在も住居として,また,商店として使われているので,生活感もあるし,商売っ気も感じられる。
 郷土資料館に行けば,脇町の歴史について詳しく勉強することができ,また,江戸末期の呉服商の家を一部改修したふれあい館では,藍染めについて詳しく知ることができる。道の駅に隣接する店に立ち寄れば,藍染めのハンカチやのれん,ちょっとしたアクセサリ,地場産品などを買うこともできる。また,喫茶店やお菓子屋さんなどもあり,そばを食べたり,お茶を飲んだりすることもできる。

 ちなみに,私がここを訪ねたときには,選挙戦の真っ最中だったためか,道の駅の駐車場が選挙関係の車で占拠されているような状態で,観光客は,なかなか車を停めることができずに,ちょっと…だった。どの候補者かは言わないが,「観光を中心に」と訴えていたのが,クスッと笑えた。