8/18 ナスカの地上絵観光



★ナスカの地上絵観光へ出発

 今回のペルー旅行最後の観光である、ナスカの地上絵。セスナで上空から見るツアーです。前日までの旅程で、運良く予定通りにいっていただけに、この日は、若干の不安がありました。飛行機が遅れたり、フライトがキャンセルになるのじゃないかという嫌な予感がしました。でも、ふだんの行いが良いのでしょうか。この日も、ほぼ予定通りの観光ができました。
 9:15にペンションカンツータを出発し、リマの空港には30分前後で到着しました。フライトは10時15分のアエロコンドル1297便の予定でしたが、ここに来て初め飛行機の遅れが…。1時間ちょっとの遅れですが、向こうの人たちは平気です。日本人なら怒っていると思いますが、平然としていました。これぐらいの遅れは普通なのでしょうか。アエロコンドル1673便と便名まで変更になり、11時24分にリマ空港を飛び立ちました。ジェット機ではなく、40人乗りのプロペラ機でした。(FOKKER F27-200)

 イカの空港には、12時08分に着陸。空港といってもナスカの地上絵観光のためにあるような空港で、飛行機を降りて、30歩ぐらい歩いたら、すぐに到着ゲート(というよりも、押して通り抜ける回転するバーのようなゲート)です。アメリカからの観光客が多いように思いましたが、日本からの10人弱の旅行者は、そのまま、空港隣接の博物館(といってもただの展示室)に連れて行かれました。そして、すぐに日本語を話す老紳士があらわれ、ナスカの地上絵の説明を始めました。10分ほどの説明が終わると、そのままビデオ上映です。ビデオはTBSの「世界遺産」のナスカの地上絵の回の録画でした。日本でも見ていったので、数回目になりましたが、現地で見るとやはり少し違った感覚です。30分弱のビデオ試聴のあと、13時頃、博物館を出て、セスナの順番待ちのため、時間をつぶしていました。ちなみに、待合所でのソフトドリンクは無料です。

 幸い、30分も待たずにフライトになりました。セスナは何機かあすのですが、小型ほど低空を、大型ほど上空を飛びます。上空を飛ぶ大型のセスナは、スピードも速く、揺れが少なく快適なようですが、地上絵の上では高い位置を飛ぶため、自然と地上絵も小さくしか見えません。また、左右の窓から地上絵を見るため、大型だと旋回をするときの機体の傾き具合が少なく、見える時間が少ないそうです。さらに、3列シートの真ん中では、ほとんど見えないようです。私たちは、幸いにも、パイロットを含め6人乗りの小型のセスナに乗ることができました。パイロットの隣はアメリカ人の一人で来ている旅行者、私たちは2列目の左右。3列目には、日本人の女性2人組でした。

 小型のセスナは、本当にこんなのが空を飛ぶのかというような頼りないものでした。中古の使い込んだ軽トラックのようです。ドアもぺらぺら、機体の剛性も心許なく、エンジンもいまいち不安でした。しかし、離陸して上空にいるときは、意外と快適で、静かなものでした。ヘッドセットをしていたため、音はあまり聞こえませんでしたが、振動もあまりませんでした。ヘッドセットからはパイロットの声が聞こえてきます。英語と日本語(といっても、単語程度ですが)で簡単な説明があり、目的地まではひたすら岩肌の露出した乾燥地帯上空を巡航しました。(高度、およそ6000フィート)

宇宙飛行士ハチドリ(ハミングバード)

クモコンドル ナスカの地上絵上空にさしかかると、急に機長の声がヘッドセットから聞こえてきました。始めは、「宇宙飛行士」の地上絵です。何もない山肌に、忽然と地上絵が見えたときは、もう、ものすごく感動しました。地上絵には、いろいろな説があるそうですが、どんな説でもきっと説明できないでしょう。見てそう思いました。「ショウショウオマチクダサイ」という機長の声が何度も聞こえ、地上絵の上空を旋回しながら機体を右に、左に大きく傾けます。三半規管の弱い人なら、きっと耐えられないでしょう。セスナの足下に、エチケット袋が挟まっていました。

 興奮しながら何度も目に焼き付け、夢中でシャッターを押しました。もっていったカメラは、NikonのCOOLPIX950で、35mm換算で115mmのレンズで撮影しまたが、200〜300mm以上の手ぶれ防止機能のあるカメラで撮るといいのではと感じました。いずれにせよ、写真に撮るのは難しいです。下の写真は、115mm相当1600×1200ドットで撮影したものをトリミングしたものです。目で実際に見た印象とはだいぶ異なり、写真に撮ると、コントラストがあまりなく、背景と絵の色や明るさの違いがほとんどなく、かなり画像処理をしました。とりあえず、感じは伝わるのではないかと思います。写真を撮りたい方は、撮ってもいいと思いますが、あまり期待せずに、現地で、写真集や絵はがきなどを購入してくることをお勧めします。

オウムミラドール(展望台)と「手」・「木」 それぞれの地上絵は、2〜3回、見るチャンスがあります。機体を2〜3回左右に傾けるため、そうなるわけです。地上絵の上では、高度は3000〜4000フィートでした。大型は4000フィートよりも上だそうです。
 搭乗するときもらった地上絵のパンフレットを見ながら、機長の「コンドル!」とか、「ハミングバード」と言う声を聞くと、セスナの下に描かれている絵が何か、わかります。「マンキー」「サル」というように、時々日本語も話したため、聞いていて飽きませんでした。

 確認できたのは、「宇宙飛行士」「イヌ」「サル」「ハチドリ」「コンドル」「クモ」「木」「手」「オウム」「ペリカン」と、十分満足できました。ペルーに行ったら、絶対行きたいところです。自分の目で是非見たいところです。日程に余裕があれば、ナスカやイカに宿泊し、地上からも見てみたかったのですが、それは予定と予算の関係上無理でした。


ペリカンサル

 ナスカ上空からイカの空港まで、妻は熟睡していましたが、セスナの下には一面の砂漠、右には、アンデスの山並みが見え、眠くはなりませんでした。

乾燥地帯(石と砂の世界)機内の様子

イカの空港に到着したのは、14時58分。およそ1時間半ほど、空の上にいたわけです。あっという間でした。

セスナの前でパイロットとセスナ正面から

 ツアーは、ナスカの地上絵観光の他にイカ市内の観光も含まれています。セスナから降りたらそのままワゴンに乗せられ、食事に連れて行かれました。(後でわかったことですが、先にイカ市内の観光をして、後でナスカの地上絵観光をするグループと、私たちのように、先に地上絵、後でイカ市内観光のグループとに分かれていたようです。)
 イカの空港を15時15分に出発し、イカ市内のリゾートホテルのレストランで、バイキングです。ホテルのレストランに案内され、食事を始めるとガイドがいなくなり不安になりましたが、約40分後、再び迎えが来ました。もう一度同じワゴンに乗せられ、ホテルを16時過ぎに出発しました。
ワカチナオアシスワカチナ砂漠 まず最初に行った先がワカチナ砂漠とワカチナオアシスです。市内から5分もかからないところに、砂漠です。あっという間に周囲の風景が変わり、どこまで行っても砂漠という景色に変わりました。さらに数分車が進と、緑が見えきました。オアシスです。オアシスという言葉は知っていて、日本で使うこともありますが、実際に見るのは初めてでした。砂漠の中に突然緑豊かな場所があるのです。不思議でした。イカの人口は84000人。比較的大きな町でした。
 オアシスで休憩をして、次に向かったのがイカの博物館です。入る前は、あまり期待していませんでしたが、入って驚きです。日本の弥生時代に相当する時代(紀元100年〜600年)に栄えたナスカ文化の収蔵品がたくさんありました。前の日にリマ市内の国立博物館でも見たのですが、プレインカが栄えた時代の様々な出土品が展示され、その保存状態のよさにも驚きました。乾燥地帯なので、水による腐食や劣化が少ないのでしょう。ナスカの大平原に巨大な地上絵を描く技術や、美しい彩色土器、上品な織物の模様、非常におしゃれな羽織(ジャングルにしかいないオウムの羽根を織り込んだもの)など、その技術の高度なことと、色彩感覚の優れていたことに感動しました。サルやオウムといった地上絵や、オウムの羽根の織り込まれた羽織など、当時、数百キロもはなれたジャングルの地域との交易もあったようです。
 ナスカでは、現在もまだ盗掘が盛んなようで、そのため、多くの芸術的な出土品が、持ち出されてしまったそうです。でも、その盗掘者のおかげ(?)で、数多くの発見があったというのも皮肉な話です。

コンドルを目の前でコンドル 博物館からイカ空港までは5分程度。17時5分には空港につきました。イカ空港を出るのが17時20分ということだったので急いで空港の奥にいると聞いていたコンドルを見に行きました。ペルーに行ったら絶対みたいと思っていたのですが、なかなか見る機会がなく、もちろん野生のコンドルなんて見かけることはまずできませんので、ここにコンドルがいると聞いた、絶対に見たいと思っていたのです。イカ空港の博物館の裏手にコンドルの檻はありました。初めて目の前で見るコンドルは、鳥というよりも獣(けもの)といった感じでした。太く丈夫そうな足、大きな体、鋭いくちばしなど、肉食獣のようでした。偶然飼育係の人がいたので、もっと近くで見たいという顔をしてみたら、手招きをされ、檻の入り口を少し開けてくれました。檻の金網越しではなく、そのままコンドルを見ることができました。とてもラッキーでした。

 イカからリマまでの飛行機は、行きに乗ってきた飛行機でした。要するに、私たちの観光が終わるのを待って、終わったら飛び立つというだけのわかりやすいものです。帰りの機内でもドリンクとパンの軽食が出ましたが、リマに着くのが7時ぐらいだったので、昼食が遅かったといえどもお腹が空いてしまいました。
 今回のオプショナルツアーは、400ドルでした。日本から事前に予約をしていったのですが、一人約5万円弱。安いと思うか高いと思うか、人それぞれだと思いますが、朝9時過ぎにホテルに迎えに来てもらって、昼食付きですので、まあ、妥当でしょう。内容まで考えると、安いのかなと思います。ちなみにリマ空港でガイドからもらったクーポンには、337.43ドル(約4万円弱)と、値段が書いてありました。従って、約1万円は、オプショナルツアーの取り扱い料とリマ空港までの送迎ということになります。現地で申し込んでも行けたそうですが、予約を入れておかないと、混雑時は空きがないようです。1万円ほど余分にかかりますが、日本から予約をしていくことをお勧めします。せっかくペルーに行ってナスカの地上絵を前に、帰ってくるのは何とも言い難いでしょう。

 その日の夕食は、ペンションカンツータの奥さんの配慮で、日本のラーメンとヒラメの刺身、ペルーのオードブルが並びました。夜の12時にペンションを出発予定だったので、夕食後、一眠りしました。ちなみに、風の旅行社のツアーで日本から来た女性2人組は、トラブル続きのアメリカン航空で帰国するため、夕食後、私たちよりも早くリマ空港に向かいました。(しかし、この後、トラブルが…)私たちは、11時45分ごろに支度をし、12時迎えに来たトライバーと、だいきさん(ペンションのお兄ちゃん)とともに空港に向かいました。

 リマの空港に着くと、私たちが搭乗するヴァリグブラジル航空のカウンターの前には、40人を越える人が列を作っていました。チェックインをするのに1時間以上かかりそうな雰囲気でした。早く空港に来て良かったなぁと思いました。仕方なく列の後ろに向かいながら、ガイドのだいきさんにマイレージを貯めていることを告げると、「ひょっとすると、こっちのカウンターでいいかも知れない。」と、[exective]と書かれたカウンターに行きました。そちらには、数人しか並んでおらず、だいきさんが話をすると、OKとのこと。ANAのマイレージカードのおかげで、数十人の長い行列を尻目に、わずか数分の待ち時間でチェックインできました。最後の最後までついていました。

 そして、もう一つ。空港でラッキーなことがありました。ペルー旅行中、会う日本人という日本人からアメリカン航空はちょっと、という話を聞きました。時間が大幅に遅れたり、欠航したり、荷物が出てこなかったりと、トラブル続きなようでした。特にダラス乗り換えの便がひどいようでした。実は、ペンションから私たちよりも一足先に帰路についたはずの日本人女性2人組が、空港の待合いロビーにいたのです。もう、とっくにリマを発っているはずなのに。よくよく話を聞くと、まったく説明もなく、30分遅れ、1時間遅れ、2時間遅れと電光掲示板が変わっていくだけだそうで、ずっと待っているということでした。本当に気の毒な話です。私たちは、午前3時発の便だったので、あと1時間で搭乗手続きが始まるというところでしたが、彼女たちの待っている搭乗口の近くでは、2時近くになっても搭乗手続きが始まりません。さらにそれだけではなく2時になろうかという時、毛布が配られ、サンドイッチを係員が配り始めたではありませんか。私たちよりも何時間も前に帰国の途についていたはずなのに…。これだけは本当に文句を言っても始まりませんが、それにしてもひどすぎると思いました。
 私たちの乗るRG8844便も搭乗手続きが50分ほど遅れましたが、それでも予定よりも1時間ちょっと遅れでリマを飛び立ちました。日本人女性2人組は、私たちが搭乗手続きをするときもまだ、仮眠していました。

飛行機の窓から見た夜明けです。グアテマラかコロンビア、それともメキシコ付近の上空でしょうか。 飛行機は、空路ロサンゼルスに向かい、順調に飛びました。しかし、ここで、また、予想もしないことが。それは、別に飛行機のトラブルということではなく、乗客の問題でした。RG8844便(B767-200)は、ブラジルのサンパウロからリマを経由する便です。従って、私たちがリマから乗り込んだときには、機内に多くのブラジル人たちが乗っていました。(あとになって思ったことですが、リマに到着するのが遅れ、結果リマを出発する時間が遅れたのも、もしかしたらこのブラジル人たちのせいかななんて。というのも・・・省略)そのブラジル人たちの陽気なことっていったらすごいものでした。機内がサンバののりでした。シートベルト着用のサインが出ようがお構いなし。通路や足下にごみが散乱し、見ず知らずの人たちと抱き合ったり、キスをしたり。カルチャーショック(死語?)でした。とにかく、狂喜乱舞で、すごいトランス状態でした。奇声を上げたり、通路でサンバのリズムを刻んでステップを踏み出す始末。流れている血が違うと思いました。
 まあ、これも経験。始めはうるさく感じましたが、次第に慣れてしまうのがおそろしいです。ロスに着いたのは予定よりも1時間遅れの午前10時23分。乗り継ぎ便であるRG8836便が10時05分発なので少し冷や冷やしましたが、その代わり、待ち時間ゼロで乗り継ぎができました。(行きと同じ感じでした。)8836便(MD-11)は、11時18分に出発し、成田には到着予定時刻1分前の13時34分に着きました。どこでどうやって1時間の遅れを取り戻したのでしょう。

 行きにも感じたことですが、さすが地球の裏側だけあって、寝ても寝ても着きません。起きても起きてもあと何時間も乗らないと着かないと思うと、切なくなります。ペルーは、ずいぶん遠い国です。何十時間もかけないと着きません。でも、それ以上に魅力のある、旅行しがいのある国です。マチュピチュ、クスコ、チチカカ湖、ナスカの地上絵、他、とても見どころの多い国です。(ツアー料金がもう少し安ければ言うことないのですが)お勧めです。


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